黄金の天秤の家(Haus zur Goldenen Waage)
主要な数値
背景
黄金の天秤の家(Haus zur Goldenen Waage)の歴史は中世に遡り、フランクフルトの歴史的地区であるドムレーマー地区の中心部にある、木骨造りのランドマークでした。 第二次世界大戦中に破壊されたこの建物は、21世紀初頭のDomRömerプロジェクトで修復された15棟のひとつに選ばれるまで、オリジナルのスタイルで再建されることはありませんでした。 再建にはショットの修復用ガラスに関する専門知識が重要な役割を果たし、歴史的な写真や資料を参考にしながら当時の木骨造りの華やかな色鮮やかなランドマークを蘇らせました。課題
当時を忠実に反映しつつ、21世紀にこの貴重な建築物を復元するには、細部に至るまで入念な準備が必要でした。困難だったのは、手作業で鍛造された金属棒、蝶番、窓ハンドルなどの歴史的な建具を取り入れるだけでなく、特に避難経路に取り入れる必要があったフレンチ・ケースメント窓でした。適切なガラスを選ぶには、建物の歴史を慎重に検討し、今後の使用方法を理解する必要がありました。エネルギー効率はもちろんのこと、近代的な構造や安全基準も組み入れなければなりませんでした。ソリューション
このプロジェクトを担当した建築事務所 Kramp & Krampは、窓ガラスにSCHOTT TIKANA®とRESTOVER®Light修復用ガラスを採用しました。これらのガラスは、当時のスタイルに合わせて表面が不規則になっており、総面積110m2の建物のファサードに、オーセンティックにまとまった歴史的な外観をもたらしています。また、このガラスは、内側の窓ガラスに最新の断熱三層ガラスを組み合わせて使用することで、最新の厳しいエネルギー効率の基準を満たすことができます。歴史的なディテールと現代の機能
ショットは、伝統的なガラスの成形加工法であるフルコール法を用いることで、当時の建築物のガラスに見られるような縦方向のうねりや厚みの変化を再現しています。RESTOVER®Lightは、板厚が薄いため、歴史的な窓枠にも効果的に収まり、 TIKANA®の不規則な表面は、当時の建造物によく馴染みます。また、耐久性とエネルギー効率を高めるために、特別なS-formの鉛コーティング「カーニーズベール(Karniesbeil)」が両ガラスに施されており、厳しい建築規制にも対応しています。活気を取り戻した街のランドマーク
修復が完成した黄金の天秤の家は、都市再生計画ドムレーマー(DomRömer) のシンボルであり、再生されたフランクフルト旧市街地区の見事なランドマークとなっています。現在は、フランクフルト歴史博物館の分館となっており、屋上庭園からはフランクフルトの街並みが一望できます。その美しさの決め手となっているのが、外観を覆う110m2のショット製ガラスのファサードです。木製の表面やフィッティングに色調を施すことで、窓のエレガントな外観を補完し、歴史の持つ強烈な雰囲気をドラマチックに表現しています。
使用した材料および類似製品
TIKANA®ガラスの不規則な表面は、修復された建物の当時の窓ガラスに似た「波状」の外観を再現しています。TIKANA®は、20世紀初期のバウハウス様式の建物の修復にも頻繁に使用されます。
RESTOVER®Lightは板厚が薄く、吹きガラスに似ていることから、歴史的な修復プロジェクトの要件にマッチングしています。
修復を成功させるための3社のパートナーシップ
ショットは、レムゴーを拠点とする建設会社、Kramp & Kramp社と密接に連携してプロジェクトを進め、窓やドアの施工を担当したPaX社とも協力しました。外側の窓には、単層の修復ガラスを用い、内側の窓には断熱性を備えた三層ガラスが採用されました。ガラス製造
ショット
建築
Kramp & Kramp社
窓製作
PaX社