3D印刷
誇らしい成果
2016:アリク・ブラシャ(Arik Bracha)氏は、ガラスを手に持ち、あらゆる角度から丹念に調べています。オブジェの複雑な形状だけでなく、それを製作した機械も、ブラシャ氏の誇りです。その機械とは、世界初の3Dガラスプリンタです。イスラエルのスタートアップ企業Micron E.M.E.社(旧MICRON3DP)は、高解像度の3Dガラスプリントの先駆者の一社として認知されています。同社の創業者によると、すでに「最初の成功例」を達成しています。現在、100億米ドルとも言われている3Dプリントの世界市場は全体として非常に有望であり、印刷のための「インク」と呼ばれる材料部分だけでも市場の10~30%を占めています。
初期段階の開発
プラスチック、金属、セラミックが3Dプリンタ市場に定着している一方で、ガラスとその印刷機はまだ初期段階にあります。現在、ガラスはプラスチック の3Dプリントにおける充填材として、または人工装具用途における添加剤としてのみ使用されています。光学品質のような典型的なガラスの特性がますます活用できる、より要求の厳しい用途の印刷材料としては、ガラスパウダー、ペースト、ロッド、チューブが最適です。ブラシャ氏は、ガラス用の3Dプリンタは、ガラスを1,000℃以上の温度で溶かして印刷する必要があるため、特別な課題があると説明します。Micron E.M.E.社では、押入れサイズのハイテクマシンの「インク」として、ショットのAR-GLAS®およびDURAN®ホウケイ酸ガラスを使用しています。
ショット品質の追加
ショットは自社のネットワークに加えて、技術専門家であるBernd Hoppe氏が、スタートアップ企業に対する材料やプロセスのノウハウを提供しています。ガラス技術における広範な能力と提供可能な材料の多様性により、ショットは積層造形プロセス用にカスタマイズされた材料とアプローチを提供できる立場にあります。「このように、将来の 3Dプリントの用途に国際的に認められた "ショット品質" が加わっています。」と、Hoppe氏は説明します。最初の作業グループは既に、勾配レンズなどの光学部品用の3Dプリントソリューションの開発における長期的目標を設定しています(ミズーリ工科大学、エド・キンゼル教授)。それまでは、最終目的に到達するための長い道のりが続いています。
明るい未来
プラスチック、金属、セラミックス、ガラス、さらには細胞組織に至るまで、3Dプリントは21世紀の主要な技術とみなされています。しかし、一連の機能を実現するために、様々な製造技術や工程が用いられます。
すべての工程に共通しているのは、材料を強化し、薄く塗布した3Dオブジェクトを作成できることです。技術的には「アディティブ・マニュファクチャリング(付加製造技術)」として知られています。これは、フライス盤を使って材料を切り取る「サブストラクティブ・マニュファクチャリング(除去造形)」とは対照的です。アメリカの発明家チャック・ホール氏が3Dプロセスの特許を申請したのは、今からちょうど33年前になります。
使用した材料および類似製品
AR-GLAS®は、食品パッケージや化粧品容器、吹きガラスの装飾品など、さまざまな用途に使用されています。このソーダライムガラスは、管形状またはロッド状の幅広い寸法があり、非常に精密な形状を実現するとともに、3Dプリントにとって重要な利点である高い熱膨張率と安定した光透過率を備えています。一方、DURAN®ホウケイ酸ガラスは、機械的強度、効率的な熱伝導、腐食環境での高い安定性を兼ね備えた強力な製品です。また、非常に厳しい幾何学的公差と高い光学的品質で、さまざまな寸法に加工することができます。