圧力センサー
大きな責任を担う小さな部品
現在、年間約20億個の圧力センサーが製造されています。 この驚異的な数字は、圧力センサーの汎用性の高さによるものです。 数ミリバールから数千バールまでの圧力を検知することができるため、さまざまな産業分野で重要な役割を果たしています。 自動車や医療分野だけでなく、民生用、産業用、航空用、その他の高機能の用途にも使用されています。
圧力センサーが自動車分野を牽引する仕組み
圧力センサー用に標準化されるガラス製品
ショットのガラスとガラスウエハーは、平面ガラスとして、または構造化ガラスとして加工される場合も、高い耐薬品性、低い電気伝導率と熱伝導率、高精度の圧力センサーのための優れた構造性を兼ね備えています。 極めて平坦で均質なTEMPAX Float® (BOROFLOAT® 33)ガラスは、陽極接合に適しているため、MEMSセンサーのパッケージングに最適です。 極薄な板厚(0.3mm以下)が必要な場合は、MEMpax®を使用できます。 ショット FLEXINITY® 構造化ガラス基板とウエハーは、カスタマイズされた構造で機能性をさらに高め、コストを削減しながら効果を高めます。
1. 小型部品の巨大市場
現在、年間約20億個の圧力センサーが生産されており、その数は毎年約7%増加しています。 圧力センサーの最大の市場は自動車分野で、現在製造されているユニットの半分以上(新車1台につき約10個)がこの分野に使用されています。 圧力センサーは、タイヤの空気圧監視システム(TPMS)で重要な役割を果たすだけでなく、エンジンオイルやトランスミッションオイルなどの重要な作動油の圧力管理にも使用されています。 さらに、エアバッグの作動やシートベルトの着用状況を確認する着座検知などの用途を加えれば、自動車の安全性を支える最も重要なコンポーネントの一つとなります。
2. 圧力センサーの仕組み
圧力センサーは、複雑な電子機器と堅牢なパッケージ材料の双方向的な組み合わせで成り立っています。 圧力センサの心臓部には接着された MEMS シリコン ダイがあり、このダイは圧力を加えると曲がる、小さくて非常に薄い膜を含むとても繊細な構造になっています。 この圧力は、膜上部のピエゾ抵抗体によって検出され、抵抗の変化を介して電気信号に変換され、特定用途向け集積回路 (ASIC) によって校正および評価されます。
MEMS シリコンダイの全体的な性能の鍵は、シリコンの下の台座です。この台座は、圧力伝達液や気体を膜に向けて誘導する非常に正確な貫通穴を提供します。 ガラスは、低電気伝導率と熱伝導率、高い耐化学薬品性、優れた構造性、シリコンに適合する熱膨張係数 (CTE) を備えているため、これらの台座に理想的な材料です。
3. 陽極接合の原理
高性能圧力センサーの精度、信頼性、寿命の核となるのは、ホウケイ酸ガラスパッケージ部品と機能性シリコンユニット間の接合部です。 この接合は、温度約400℃、電圧最大2,000Vの陽極接合プロセスにより、ウェーハレベルで電気化学的に形成され、ガラスとシリコンの化学成分が一体化します。 この接合は強固で安定していて、ダイパッケージソリューションに要求される高い電気的、熱的、化学的耐性に貢献する必要があります。
ガラス基板とウエハーの利点
工学博士 ロイ・クネヒテル教授が MEMS ベースの圧力センサに効果的なパッケージの重要性と、ガラスが理想的な材料である理由についてご説明します。
MEMS* ベースの圧力センサの主な市場は、自動車、医療、産業およびコンシューマー用途です。 今日および将来の要求仕様は、これらのセグメントの用途により異なります。 自動車、医療、産業の分野では、製品開発者は精度、長期安定性、堅牢性の向上に重点を置いており、過酷な環境も考慮しています。
大量生産のコンシューマー用途では、低コストでの小型化に対する需要の高まりが課題となっています。
(* マイクロ電気機械システム )
機械的ストレスに敏感なシリコン製MEMSダイのパッケージは、システムの全体的な性能に影響するため、非常に重要です。 いわゆるファーストレベルパッケージの場合、次の 3 つの主要なタスクがあります。
- 最終モジュールおよびシステムレベルのパッケージに応力の脱結合と電子的隔離を提供する。
- 気密封止された基準圧力を可能にし
- 過酷な環境下での使用にも対応できるよに保護をする。
圧力センサーシステムの性能向上へのニーズが高まる中、ガラス製パッケージングソリューションは継続的に課題に直面しています。 ダイの小型化により、1枚のウエハーに搭載できるダイの数が増えます。 このため、構造化された圧力センサーのペデスタル・ウェハーの穴の位置や直径には、より厳しい公差が要求されます。 デバイス全体の厚さを減らすためには、できるだけ薄いガラスで実現するのが最善ですが、応力隔離機能は維持しなくてはなりません。
ショットは、超高精度の構造化ガラスであるFLEXINTY®ポートフォリオと、研磨や表面欠陥のない極薄のTEMPAX Float® (BOROFLOAT® 33)の「姉妹」材料であるMEMpax®を組み合わせることで、圧力センサー市場の将来的な要求を満たす高性能ガラスベースのソリューションの提供を可能にしています。