世界初の液化水素運搬船にショットの封止構造ガラス Eternaloc®フィードスルーを採用

水素は、化石燃料の代替となるカーボンフリー燃料として世界的に注目されており、水素を燃料とする燃料電池自動車も複数実用化されています。しかし、水素は構造的には最も単純で軽い化学元素であるにもかかわらず、体積エネルギー密度が非常に低く、輸送が困難であることが知られています。現在の標準的な水素輸送方法は非効率的で長距離輸送ができないため、インフラ整備や幅広い普及の妨げになっています。

世界の水素輸送を向上させる挑戦的なプロジェクト

世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」が就航し、現在HySTRA（技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構）主導で実証実験が行われています。この船体の貯蔵タンクは、-253℃に冷却された液化水素を気体の1/800の体積にして輸送することを可能にします。安全性を保持するために、貯蔵タンク内の液化水素の状態を監視できるインフラが必要となります。

気密封止部品としてのガラスの信頼性

ショットは、業界をリードする気密封止部品の製品群の一部として、Eternaloc®フィードスルーと電気貫通部を製造しており、安全性が重視される原子力、液化ガス、圧縮ガスなどの用途における機器の安定した機能や制御

インフラを提供します。ショットは、川崎重工との密接な協働により、電気および光ファイバーの貫通部に、船舶の真空断熱システム向けの小型Eternaloc® S-Typeフィードスルーを開発しました。

Eternaloc®の構造設計は、小型化されたハウジングにガラスと金属で二重封止された電気フィードスルーと、二重封止された光ファイバーのフィードスルーで構成されています。万が一、一つ目の封止機能が破損した場合でも、二つ目の封止バリアにより漏洩を防ぎ、機能を維持することができます。

過酷な環境下での使用に最適化されたガラスと金属の圧縮封止技術を用いたフィードスルーは、振動や地震荷重を想定した実験を含む様々な型式検査を受け、極低温などの極限状態でもストレスに耐え、重要なシステムを維持することが確認されています。長く困難な航海に耐えるため、ショットは、原子力発電所やLNG貨物ポンプなどに採用され、その堅牢さで知られるガラスの二重気密封止構造を用いています。

「すいそ ふろんてぃあ」は、液化水素輸送のための専用タンク搭載船の設計・製造・機能性を実証する実験に成功しており、川崎重工は現在、液化水素の大量輸送を実現するための船の基本設計を進めています。