TOパッケージ
TOパッケージ
品質要件
高速データ通信において気密パッケージが重要なのはなぜですか?
マイクロエレクトロニクスでは、「気密性」という用語は、湿気と有害なガスが封止されたパッケージへ侵入するのを防ぐ気密封止を指します。通常、気密パッケージ内部で許容される湿気含有量は、機器の耐用年数にわたって5000 PPMの水蒸気を超えてはいけません。したがって、ガラス、金属、セラミックを用いたパッケージのみが、気密性が高いとされています。
湿気は機器にどのような影響を与えますか?
パッケージ内部における水素と水蒸気は、封止された高精度な部品の性能と信頼性を損ないます。このことは以下につながります:
- 化学的な腐食による金属製インターコネクトへのダメージ
- ピン間の電気的リーク
- 銀および金のマイグレーションによる電気的短絡
- 電気インピーダンスの変化
- 光学部品の光散乱または波長変化
ガラスと金属の封止によるTO – 信頼の高い気密性のための選択肢
ガラスと金属の封止は、気密封止されたハーメチックパッケージを製造するために数十年にもわたり選ばれてきた技術です。ポリマー封止パッケージと比較して、ガラスの気密封止の主な利点は次の通りです:
- アウトガスの発生なし: ガラスと金属の封止パッケージは有機物質を含んでいないため、時間の経過とともにガスが放出されることはありません(残留ガス分析試験によって実証済み)。
- ゼロに近い透過性: ガラスと金属の封止パッケージは、ガス透過性がほとんどありません。
SCHOTT TO パッケージの利点
ガラスと金属の封止は、気密パッケージの製造において最も実績のある技術ですが、ガラスと金属を恒久的に接合する技術は、一部の会社しか保有していません。さらに、気密封止を備えた高性能TOパッケージには、最も厳しい耐久性要件を満たすヘッダーとキャップが不可欠です。
ショットは、50年を超えるTO分野の経験に基づき、お客様の生産における優れた加工性を可能にする安定した品質を提供することで、特に高速伝送や光信号の受信を必要とする用途において、高い生産性と優れた性能を実現します。
完全にマッチしたTOヘッダーとキャップ、そして幅広いカスタマイズ機能により、お客様の次世代の高速インフラ用の高性能な光アセンブリを開発することができます。
気密性 | ガラス封止された TO パッケージは、信頼性の高い封止を実現し、高感度の電子機器を湿気の侵入から保護します。 |
高光透過率 |
|
優れた熱管理 | ショットのTOヘッダーは、TECにより放熱をコントロールすることで、レーザーの波長を調節して安定させ、より高出力の信号伝送を可能にしています。 |
正確な光学特性 | 高精度特性を実現するために、さまざまな高屈折率レンズ材料とコーティングが利用可能 |
TOヘッダー
機能
- TOヘッダーは、半導体、レーザーダイオード、簡単な電子回路などの電子部品および光学部品を取り付けるための機械的ベースとなります。
- TOヘッダーは、貫通部ピンを使用して、封止された部品に電力を同時に供給します。
- ガラス封止されたTOヘッダーは、環境からのダメージから封入された部品を保護します。特に湿度は、半導体素子を急速に腐食させ、部品全体の故障につながる可能性があります。
TOヘッダータイプ
- スペース、チップサイズ、I/Oなどの条件に合わせて、さまざまなヘッダーのラインアップを用意しています。SCHOTTは、多数のカスタマイズオプションによって全ての標準TOヘッダー設計とそれに適合するキャップを製造することができます。
- TOヘッダーには一般的に3つのタイプがあり、製造において使用される製造技術によって区別されます:
- シェル付きTOヘッダーは、熱成形を使用し成形された金属シェルで構成されています。ピンはガラスを使用し固定されています。
- スタンプ付きTOヘッダーには、レイズドヘッド(スタンプA)またはフラットヘッド(スタンプB)があります。
仕様
以下の表は、確立された国際規格とパッケージの組み合わせの範囲を示しています。
アウトライン | TO5 | TO8 | TO9 | TO18 | TO33 | TO38 | TO39 | TO41 | TO46 | TO56 | TO60 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
プロフィール | シェル付き |
スタンプ付き A |
スタンプ付き A |
シェル付き |
スタンプ付き B |
スタンプ付き B |
スタンプ付き A |
スタンプ付き A |
スタンプ付き A |
スタンプ付き B |
スタンプ付き B |
計量プラットフォーム 直径 mm |
7.6 | 11.7 | 5 | 4.2 | 3.3 | 該当なし | 7.5 | 3.1 | 4.2 | 該当なし | 該当なし |
アウター 直径 mm |
9.1 | 13.9 | 9 | 5.4 | 3.3 | 3.8 | 9.1 | 4.1 | 5.3 | 5.6 | 6.0 |
標準 ピンサークル 直径 mm |
- | 7.5 | 2.5 | - | - | 1.43 | 5.08 | 1.65/1.80 | 2.54 | 2.0 | - |
マッチング キャップのアウトライン |
TO5 | TO8 | TO9 | TO18/TO52 | TO33/TO38 | TO38 | TO5 | TO56 | TO18/TO52 | TO56 | TO60 |
金属 | 圧縮ガラス封止 |
冷間圧延鋼 (例:AISI 1010) |
適合するガラス封止 |
Kovar ®(ASTM-F15)および 合金 52(ASTM-F30) |
|
めっき |
|
TOキャップ
機能
- TOキャップは、伝送および受信機能において光学部品を確実に保護します。
- TOキャップは、光インターフェースとして機能することで、光信号の伝送も可能にします。TOキャップに取り付けられたウィンドウまたはレンズの光学特性は、非常に厳しい要件を満たす必要があります。
TOキャップタイプ
- ボールレンズキャップ
これらのキャップは、レーザーダイオードとファイバー結合用途におけるコリメーションとポイントツーポイントイメージングのために特別に開発されました。SCHOTTは、屈折率、ボールレンズの直径など、個々の結合効率の仕様に合わせてカスタマイズされたガラスを開発できます。SCHOTTのボールレンズキャップは、焦点位置が安定性しています。安定した光学特性は、ボールレンズ真円度の品質と、溶接後のボールレンズの位置を考慮した設計によって実現されます。
- ミニレンズキャップ
SCHOTTミニレンズキャップは、高水準の安全性を提供し、長年にわたって光学特性を確実に保持します。例えば、ミニレンズは光強度測定(運動センサー、赤外線温度測定など)などの内蔵センサーとの併用に特に適しており、また、データ通信における受信器として使用するためにフォトダイオードの封入に使用できます。
- ウィンドウキャップ
超高精度ウィンドウキャップは、最高レベルの光透過率、さらに強化されたARコーティング、高精度光学ガラスディスクの使用により製造されています。これらのTOキャップは、さまざまな異なる形状で製造できます。
仕様
キャップ | タイプ | ID mm | OD mm | FD mm | TO ヘッダと互換性あり |
---|---|---|---|---|---|
TO5 | L、W、FW、UFW | 7.7 | 8.1 | 9.1 | TO5、TO39 |
TO8 | W | 11.8 | 12.3 | 14 | TO8 |
TO18 | - | 4.2 | 4.6 | 5.3 | TO18、TO46 |
TO38 | - | 2.5 | 2.7 | 3.4 | TO38 |
TO39 | - | - | - | - | - |
TO41 | TW | - | - | - | - |
TO46 | - | - | - | - | - |
TO52 | L、W、FW、TW、UFW | 4.3 | 4.7 | 5.4 | TO18、TO46 |
TO56 | W、TW、UFW | 3.3 | 3.5 | 4.2 | TO41、TO56 |
機械加工済み | - | カスタム | - | - | - |
ピグテール | - | 1.7 | 1.9 | 2.4 | ピグテール |
ピルパック | - | カスタム | - | - | - |
長方形 | - | カスタム | - | - | - |
L = レンズ、W = ウィンドウ、BL = ボールレンズ、FW = フィルターウィンドウ、TW = ティルトウィンドウ、WW = ウェッジウィンドウ、UFW = ウルトラフラットウィンドウ
材質
金属 | 合金 52、SF20T、合金 46(オプション仕上げ;Ni/Ni + Au) |
ボールレンズ | 光学ガラス。屈折率、1.5 ~ 2.0 |
ウィンドウ |
ショットは成形ガラスとして 二種類の主要ガラスを提供しています。
はんだガラス技術を使用したウィンドウキャップの製造に使用される一般的なガラスタイプは、ショット D263 ガラスです |
ガラスコーティング |
|
サプライヤーとしてのショット
研究開発能力
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RFシミュレーション
-
機械および熱シミュレーション
-
光学シミュレーション
ショットはお客様のイノベーションをサポートします
ショットの世界初の10 Gbit/TO PLUS®ヘッダーの発売は、高速設計の歴史において最も重要な進歩の1つになりました。それ以来、ショットは市場が要求する前に次世代の高速製品を開発することで、継続的なデータ速度向上の要件を積極的にサポートしてきました。
プラットフォーム開発 – カスタマイズできるように製造
ショットの研究開発の専門家は、経験と市場の知識を活かし、お客様の将来の課題を予測し、問題発生前にソリューションを提供しています。ショットの高性能なTOヘッダープラットフォームは全て、お客様の仕様に合わせ変更できるよう製造されています。一般的な変更には、サイズ変更、ピン数、ピン位置、特殊材料要件が含まれます。
ショットはお客様のイノベーションをサポートします
お客様は、製品設計、開発プロセスにおいてショットのフルサポートをご利用いただけます。お客様と緊密な協力関係を築くことで、お客様の希望する機能と性能仕様を確実に満たすことができます。ショットは、幅広いツールを使ってお客様のデザインを実現するお手伝いをします。
現地でのアプリケーションサポート
ショットは、お客様の個別の要件に合った最高のソリューションについて、お客様との協議することが重要だと考えています。ショットグループの一員として、ショットはガラスの開発、溶融、加工を含む、幅広い自社工程のノウハウを有しています。 さらに、ショットのエレクトロニックパッケージング事業部では、金属加工、めっき、仕上げに関する知識も有しています。ショットのTOの専門家は、グローパルな販売網と技術的な専門知識を活用して、お客様に最高のアプリケーションサポートを提供し、製品のカスタマイズ要件に関してお客様のご相談に応じます。
世界的な販売サポート
「何かあれば、ご相談ください」 これは、世界中のショットの販売スタッフに共通するモットーです。アジア、ヨーロッパ、米国にあるショットのエレクトロニックパッケージングコンピテンスセンターは、迅速で地域に密着した顧客サービスを提供しています。ショットグループでは、35カ国の生産拠点と営業所を通じてグローバルなカスタマーサポートを提供しています。
ショットのイノベーションの実績 - 現在、そして次世代の高速設計に対応する基礎。
ガラス科学と加工における世界的リーダーとして知られるショットは、ガラスと金属の封止に適した特殊ガラスの開発を1930年代に開始しました。 現在の高速TO PLUS®ヘッダーの最初の世代は、1964年に登場しました。ショットは、50年以上にわたる研究とTO分野における応用知識により、次世代データと通信インフラをサポートする革新的な高速デザインの設計と製造において業界をリードし続けています。
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2018年 50G: TO技術における画期的な進歩。ショットは、データ通信用途においてかつてない速度を実現する50G TO PLUS®を開発しました。
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2017年 高速TOソリューションによって全ての距離を克服。ショットの高性能TOヘッダーおよびキャップは、長距離、中距離、さらには短距離のデータ伝送において、ボックスパッケージを置き換えることができます。
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2016年 SCHOTT 10G DML TEC TOによってボックスパッケージを交換。 高性能TO PLUS®ヘッダーおよびキャップによって新しい高速光学部品設計を実現。ショットは、4x10 Gbit/sをサポートするためのQSFPトランシーバー向けの小型TO38およびTO33を開発しました。
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2015年 ボックス脱却へ: 新しいSCHOTT® TEC TOパッケージ。 10Gbit/sの冷却装置に最適。
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2013年 高速設計における飛躍的な進歩: 28G TO PLUS®ヘッダー。 28G TO PLUS®ヘッダーは、28 GBit/sのデータ伝送速度を可能にする初めてのガラスと金属により封止されたTOヘッダーです。
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2012年 SCHOTT TO56ボールレンズキャップの改善。ショットは、さらに改良されたTO56 ボールレンズキャップの導入により、特にFTTH市場向けに最適化、特殊開発された高性能製品を開発しました。
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2008年 高速設計における飛躍的な進歩。 次世代ファイバーチャンネル向けの14 Gbit/s TO PLUS®ヘッダーの開発。
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2006年 優れた熱伝導率を備えたヘッダー。ショットは、熱伝導性の高い製品向けに銅ヒートシンクを備えたTO38、TO39、TO56ヘッダーを発売しました。
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2002年 10 Gbit/s向けの初の高速TOヘッダー。 2002年の10 Gbit/sのデータ速度に対応した初の高速TO PLUS®ヘッダーの導入は、ショットの高速における歴史での画期的な出来事です。
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2000年 VCSEL用の高精度なアングルウィンドウキャップ 速度と光学精度への要件が高まる中、SCHOTTはVCSEL用の高精度アングルウィンドウキャップを導入し、反射光のモニターへの利用を実現しました。
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1990年 光ファイバーネットワークの普及に伴い、レーザーやフォトダイオードのチップを保護するために、TOヘッダーやキャップが標準装備されるようになりました。ショットは、市場の需要に先がけて次世代の高速製品を開発することで、データレート増加のニーズに対応します。
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1980年 TOキャンパッケージは、主要用途がオプトエレクトロニクスに切り替わると、より高性能化されました。ショットは、光学ガラスにおける自社の能力を活かし、光信号の伝送に必要なTOウィンドウとレンズキャップの提供を開始しました
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1964年 TOパッケージの大量生産の原点: ショットのエレクトロニックパッケージング事業部は、ガラスと金属の封止に基づいた気密TOヘッダーの生産に最初から参加しています。